この海辺に越してきた24年前、買い物をするにも外食をするにも、ここは左程便利な土地ではなかった。
海を眺めたり散歩したり、夏に泳ぐために越してきたようなものであり、利便性を求めていた訳ではない。
ところが四半世紀近くを経て、住居周辺は随分と便利で賑やかになったものだ。大体のものは近隣で何でも揃うし大型書店も近いし美味しいお店も少なくない。
松山市の人口は減少に転じており、とうに50万人を下回っているというのに不思議なものだ。
私の場合、外食と言えば誰かと連れ立ってというものではなく殆ど単独行動である。そして分類するとラーメンかハンバーガーか牛丼が9割を超える。ラーメンはそれなりに拘りの店があるが、ハンバーガーや牛丼はチェーン店一択。
チェーン店の、注文すればシステマティックに料理を提供されるというのが清々しい。もちろん時間内に提供してくださる店員さんの並々ならぬ努力や鍛錬があってこその高速提供であるのだろう。せっかく高速提供してくださったのだから早く食べないと!と思ってしまう。時折「良く味わって食べなさい」などとおりをいただくが、味わっていない訳ではない。短時間で濃密に味わっているのだ。
幼少の頃より「食事は時間をかけてはならぬ」「おしゃべりをしながら食べるな」と戦前生まれの父母に叩き込まれているので、いつも高速に嚙み砕き喉に流し込む感じになってしまう。
しかし、たまにはゆっくりランチを楽しむのも悪くない。
夫婦での外食は今年初めだったかもしれない。クルマで5分の海辺のレストラン「AROHA TERRACE」で早めのランチ。
開店前に到着してしまい、店の外のベンチで待っていると開店前に店内に案内していただいた。
南国情緒漂う風情のある店のたたずまい。店員さんは親切で雰囲気も良い。
もちろん料理も良い。
アサイーボウルを注文する。アサイーの第一次ブームも第二次ブームもどこ吹く風と気にすらなっていなかったのだが、寄る年波で健康が気になる年齢となり、生まれて初めて口にした。
ほとんど無味無臭なので、この少し甘酸っぱいフルーツと交わった味わいはデザートとして素晴らしいのではないか。
クルマでたった5分で来られる南国情緒あふれるレストラン。
とても良い。年に何度かは足を運ばせていただこうと思う。
【総務部 S・A】