20代から30代にかけて、10年ほど勤めていた会社で、Kさんという先輩に随分と目をかけていただきました。
1990年代、30年以上も遡る昔の話です。
Kさんは私より10歳年長ですから、出会った頃、私が20代、Kさんは30代でした。
営業職の中でも常に上位の業績を上げており、高い上背に派手な色のワイシャツを着て、トラッドスタイルのジャケットを羽織り、颯爽としていました。
駆け出しの営業職だった私にとって、目標でもあり、憧れの存在でした。
何より、担当しているお客様から愛されている人でした。
Kさんは、私たち20代の若い社員をよく飲みに連れて行ってくださいました。
小料理屋などで出される料理の食べ方にも口を挟み、
「おいおい、醤油はやめとけ!ポン酢掛けた方がええぞ!」
などと言います。
三次会の寿司屋を出る際には、
「奥さんに渡してやれ!喜ぶぞ!」
と、寿司の折り詰めを渡してくださることも多かったものです。
昔ながらの寿司店で、折詰(おりづめ)を包装紙で包み、一本の紐で十字、あるいは縦に縛って「ぶら下げて」持ち帰る、あのスタイルです。
そんなKさんから先日、あるサークルのビアガーデンのお誘いがありました。
そのサークルは、Kさんが若い頃、自ら中心となって作ったものです。
私はそこで、四半世紀ぶりにサークルのメンバーと顔を合わせました。
「私のこと、覚えていますか?」
「御無沙汰しております。お元気そうで何よりです」
などと言葉を交わしながら食事をしていると、当時、青年だった彼ら彼女らが、今ではスマホに入っている孫の写真を見せ合い、自慢し合っています。そんな彼らを見ていると、何とも楽しい気持ちになりました。
楽しいひと時を過ごした翌週の休日、愛猫とうたた寝をしていたら、妙な夢を見ました。
若き日の細身の私が、営業かばんを片手に階段を軽やかに上り、2階の事務所の奥にある社長室へ入っていきます。
そこで、ふと気づきます。
「あの建設系の会社だ!」
営業かばんから性能比較表や経費提案書を取り出し、社長と経理担当の奥様に説明しています。
20代の頃、大きな注文をいただいた会社でした。
この頃は、昔の夢を見ることが多くなりました。
夢の中には、もう二度と会うことのできない人も登場します。
30年以上の時を経て、当時の人たちやできごとが、夢の中でふと蘇ってきます。
年齢を重ねたからこそ、思い出すこともあるのでしょう。
これまで出会った人たちにいただいたご縁や、かけていただいた言葉を忘れず、昔出会った人たちへの感謝の心を胸に、生きてまいります。
【総務部 S・A】
