夏からこの秋にかけて、「天候不順」とか「異常気象」とか「観測史上最も厳しい残暑」とか世間で騒がれているうち「この気象は異常などではなく、これからはこれがスタンダードなのだ」と諦めながら薄着で過ごしていると、急に晩秋特有のひんやりとした空気が漂ってきた。晩秋から初冬にかけての気候を一番好ましく思っている。
少し離れた町にある妻の実家の墓掃除を朝のうちに済ませて、午後、自宅に戻り作業をしていると、ここ数年、拙宅の猫の額に住み着いているカマキリ族のひとりと目が合った。
何とも愛らしい彼女は短い生涯を終えようとしているところだ。そう思うと何ともセンチメンタルな気持ちになる。
「一番塩梅の良いところに産卵してくださいね」
木の枝にいる彼女に声をかけて作業に戻る。
晩秋から初冬にかけての休日は、自室に籠り小さなオーディオでクラシック音楽を聴きながら読書をして過ごすことが多かったのだが、ここ数年は何かと雑用が多く、優雅な音楽鑑賞の時間を作ることができない。
夜、眠りに就くまでの短いひとときに後期ロマン派の作曲家の音楽が欲しい。
これからの季節は緯度の高い寒い地域出身の作曲家の音楽を聴きたくなる。
ブラームス、グリーグ、チャイコフスキー、カリンニコフ、シベリウス。
週末の夜、これらの作曲家のCDを棚から取り出してみよう。
【総務部 S・A】