2022年10月21日 /  社員ブログ 

ピーナッツパン

ジュニアゴルファーの父親のほとんどが子供の試合のキャディーをしたがる。

僕は正直、気が進まない。圧倒的少数派。
理由は明白。大切な試合にキャディーとして、責任を背負いたくないから。
クラブハウスで子供が上がってくるのを待ち、結果だけを見てる方が気楽。自分の保身に他ならない。
それでも、「キャディーをして良かったかも」と思った試合が今年はあった。

あるホールで娘がティーショットを打つ準備をしている時、お腹が空いた僕は、手さげバッグの中からおにぎりを取りだして口にした。
そもそも、ゴルフはプレイ時間が長いため途中で何かを口にいれるようになる。できれば、外でも簡単に食べられるもの。

食べ終わる頃、娘のティーショットの球はフェアウェイに。
他の選手も打ち終わると、各々クラブを乗せた手引きカートを一斉に押し始め、セカンド地点に向かう。

その時には、僕は好物のピーナッツパンにも手を伸ばす。
自然のなか、歩きながら食べる”行儀の悪さ”がこれまた自分の性分に合う。

セカンド地点につくと、娘のクラブ選びが始まる。
しばらくして、スイングに入る時、こちらは音を立てないように、また動きが彼女の集中の邪魔にならないようにカートにロックをかける。

そのわずかの後、球は打たれる。
その場にいる誰もが飛んでいく球に視線を向ける。
200yard先のピンに向かって真っ直ぐ飛んでいく光景にはつい見惚れてしまう。

球の着弾を見届けると、娘に「ナイス」と声をかけ、カートのロックを外し再び歩き出す。

そこで、また食べかけのピーナッツパンを口にいれる。
さっきの弾道を思い出しながら食べるピーナッツパンは格別。

それ以来、娘には「あの時に食べたピーナッツパンの味に勝るものはない」と言っている。

今度、またそれを味わえる日を楽しみにしている。


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